高知新聞平成15年12月25日掲載
     増える閉塞性動脈硬化症

                    高知市の民間病院 100歳女性に血管形成術

近年、手足が冷える、歩いているときに足がしびれる、足が蒼白に変色するさらに足が潰瘍(かいよう)、壊死(えし)といった腐った症状を訴える閉塞(へいそく)性動脈硬化症の患者が増えている。加齢や肥満、高血圧、糖尿病などが原因で動脈硬化が進み、血管が細くなったり、詰まったりした結果、充分な血流が保てなくなるためだ。これに対し高知市入明の岡村病院(岡村高雄院長)では先月、同症の百歳の女性に対し血管形成術を行い成果をあげ、注目されている。
 同症の治療は、症状が足のしびれ感など軽度の場合は血管を広げる血管拡張薬や血液をさらさらにして流れをよくする抗凝固薬などが使われる。 症状が重い場合には、動脈の詰まっている部分を人工血管や自分の別の血管でつないで血行を回復させるバイパス手術。また血管形成術といって血管内に細い管(カテーテル)を通し、詰まった部分を風船で脹らませたりステントという金属製の金具をいれて血管を拡張、血流を開通させる方法がとられる。
今回手術をうけたのは南国市亀岩の坂本繁喜さん(百歳)。左足が冷えて痛くて眠れないし、昼間も歩くことが困難になってきたとの症状を訴え診察にきた。同院で血管のエコー検査などをしたところ、大腿(だいたい)の浅動脈と膝窩
(しっか)動脈に狭窄(きょうさく)がみつかった。坂本さんの痛みは狭窄で足先に血液が充分に流れていないためだった。
治療に当たった西村哲也医長は、薬物療法では充分な血流の改善は望めないため外科的手術が必要と判断。坂本さんの年齢を考えるとバイパス手術は患者の負担が大きい。そこで局部麻酔で時間も短くてすむカテーテルによる治療を行うことにした。
治療は、左足太ももの血管からカテーテルを挿入。狭くなった血管を風船で脹らませて広げた上で再び狭窄しないようにステントを入れた。手術時間は1時間半で終了した。
坂本さんは「おかげで散歩にも出かけられますし、夜もぐっすり眠れるようになりました」と話している。
岡村院長は「閉塞性動脈硬化症は年々増え、当院でも年間20〜30例の手術を行っています。今回の坂本さんのような高齢の方の治療では、患者さんに過大な負担をかけず、そしてQOL(生命の質)が損なわれない治療が大切で、この方法をとることにしました」と話している。