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当院に関係する症状や治療方法について解説しています。


閉塞性動脈硬化症とは

足の動脈に動脈硬化が進み血流障害をおこす病気が「閉塞性動脈硬化症」です。その原因は高血圧・糖尿病・脂質異常(高脂血症)といった生活習慣病やメタボリック症候群に共通しておこる血管の動脈硬化です。血管の動脈硬化は全身に起こり、様々な病気の原因となります。

断面図 正常 狭窄 閉塞

血管の壁は3層からできています。

血管壁の内膜にコレステロールなどがたまって血液の流れる内腔が狭くなっていきます。
さらに、血管の弾力もなくなり、血液の流れが悪くなります。
この状態が「動脈硬化」です。

動脈硬化が進行すると、狭くなった内腔に血液中の血小板が付着し、血栓(血の塊)ができ、最終的には血管が完全に詰まってしまいます。

閉塞性動脈硬化症の症状

症状の程度によって、閉塞性動脈硬化症の進行段階がわかり、一般的にはⅠ度→Ⅳ度まで徐々に重症化していきます。

Ⅰ度:無症状

最も軽く症状が無いか、冷感、しびれの症状が現れます。

Ⅱ度:間歇性跛行(かんけつせいはこう)

ある程度の距離を歩くと足が痛くて歩けなくなりますが、しばらく休むとまた歩けるようになります(この歩行を間歇性跛行と呼びます)。症状が軽ければ200~300mまで歩けますが、悪化すると50mも歩けなくなります。

Ⅲ度:安静時疼痛

じっとしていても痛みます。痛みの為に夜眠れないなど、生活の質(QOL)が低下してしまいます。

Ⅳ度:潰瘍、壊疽

症状が最も進んだ状態です。治りにくい潰瘍ができたり、足の一部が壊死しまったり、足を部分的に切断せざるをえない事もあります。

動脈硬化の診断

問診
気になる症状などについて確認します。
友達や家族などと一緒のスピードで歩けない、歩行時や階段を登るとふくらはぎなどに痛み、張った感じが出現をするなど、気になる症状が、いつから・どのような時に出るかや既往歴・家族歴などについて確認します。
視診
皮膚の色を見る事で、血流障害を確認します。
仰向けに寝た状態で、両足を上げ下げしていただき、左右の足の色の変化を調べる検査をします。動脈硬化で血液が流れにくくなっている足は、上げると蒼白になり、下げてしばらくすると赤みが増します。(挙上・下垂試験)
触診
足の拍動を調べることで、動脈硬化を確認します。
足の付け根、ひざの後ろ、足の甲、くるぶしの後ろなどの動脈の拍動の強弱を調べます。どの部分の拍動が弱くなったかで、動脈硬化を起こした部分の見当をつけることができます。
ABI検査
腕と足の血圧を比べ、足の血流低下の有無を確認します。
足の血圧と腕の血圧の比をABI(Ankle Brachial Pressure Index)と言います。通常、ABI は、1.0以上ですが、足の血管が動脈硬化により、狭くなったり詰まったりすると、その先の血流が減少するため、足の血圧が低下し、ABIも低下します。ABI が0.9以下の場合、足の血流が悪くなっていると考えられます。ABI を簡単に測定できる機器を使用し、閉塞性動脈硬化症の診断に活用されています。
超音波検査
血液の流れや血管の状態を超音波(エコー)にて検査します。
閉塞性動脈硬化症の診断にABI測定器とともに良く使用されます。超音波を使用して下肢血管の流れなどを計測します。ほとんど痛みもなく検査は20分ほどで終了します。
皮ふかん流圧測定
足先の血流が悪くなったときの重症度を評価します。
足の裏や足の甲へセンサーをおいて、圧迫帯(カフ)によって血流をいったん止めます。その後、圧迫帯(カフ)の空気を抜き血流が再びもどるポイントを測定するものです。しめ付ける感じがありますが、痛みもなく検査時間は15分ほどです。
造影CT
静脈に造影剤(ヨード造影剤)を注射して検査します。
造影剤を使用して撮影する事により血管の状態がより明確に描出でき、3D 画像など診断価値の高い画像が得られます。
検査時間は10分ほどで終了します。
血管造影
動脈に造影剤を注射してレントゲン撮影し、病変部を確認します。
動脈に造影剤を注射し、レントゲン撮影します。血管のどの部分がどのくらい狭くなったり詰まったりしているのかなどを、正確に確認することができます。



閉塞性動脈硬化症の治療法

薬物療法

閉塞性動脈硬化症の治療薬には次のような薬剤があります。抗血小板薬や血管拡張薬と呼ばれる薬剤を中心に、症状に応じていくつかの種類を使い分けます。

抗血栓薬(血栓【血のかたまり】をつくらない様にし、血管が詰まるのを防ぎます。

  • ●抗血小板薬:血栓形成や動脈硬化の進展に重要な働きをする血小板が活発に活動するのを防ぎます。
  • ●抗凝固薬:血栓ができたり、大きくなったりする事を防ぎます。
  • ●血栓溶解薬:できてしまった血栓を溶かします。

血管拡張薬(血管を広げ、血液が流れやすい様にします。)

血管内治療(経皮的血行再建術)

太ももの付け根などから足の血管の中に細長い管を入れ、管の先につけた風船(バルーン)で、血管の動脈硬化により狭くなった部分を拡げる治療です。

バルーン法 ステント法
狭くなった部分を風船(バルーン)で膨らませて拡げます。 バルーンで膨らませた部分に、金属製の網状の枠(ステント)を入れることがあります。
外科療法(バイパス術)
血管の詰まってしまった部分を飛び越えるように、人工血管や自分の静脈を使って新しい血液の通り道(バイパス)をつくる手術です。
血栓等で血管が詰まり、詰まった部分から先へ血液が流れにくくなった状態です。 人工血管や自分の静脈を使い詰まった部分を迂回するようにつなぎます。詰まった部分を迂回して詰まった部分から先へも血液が流れ始めます。

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